元号

 「平成」が終わる日。幼い頃、自宅のVHSを漁っていると、「昭和天皇崩御から平成元年」と記されたVHSを発見したことがある。映像は、1989年1月7日の夜に録画されたもので、ちょうど崩御から改元までの様子を記録しているものだった。登場する人物は皆黒い喪服を着て、暗い音楽が流れていて、時代の節目とはこうも哀しく重苦しいものなのかとの感慨を持ったのを覚えている。そして、近い将来こうした風景が再現される日が来るのではないかという想像をした。私は「その時」をどのように迎えるのだろうか。

 平成29年12月、天皇譲位は「平成31年4月31日退位、から翌5月1日に皇太子殿下の即位・新元号施行」という流れで実施されることが決まったようだ。これにより、平成は31年4月一杯をもって終了し、5月からは新天皇のもと、新しい時代が始まる。

 崩御を伴わない平成の終わりは、幼い頃に思い描いた哀しき弔事ではなく、老練なた上皇の下、次代の天皇が即位する華々しい慶事としての節目になると考えられる。これは喜ばしいことだろう。そもそも一世一代の元号制度は明治以降のことだ。長い日本史の中でも新しい慣習に過ぎない。時代の変化に合わせ柔軟に変更していくことは是として求められることだろう。ただ、今後の皇位継承を思えば、少々不安にならざるを得ないだろう。今回の譲位により、今上天皇上皇、皇太子は天皇秋篠宮殿下は皇嗣殿下となられるが、次の世代を担う皇孫はお一人である。果たして、現行の皇室制度のままでよいのか。これは国の象徴を頂く、国民の論点となろう。

 いずれにせよ、慶事としての時代の節目を目撃することができる。哀しく重々しい空気よりも、めでたい空気がいい。皆で喜べればよかろう。